【コラム】子ども一人ひとりの今日の幸せ、明日の幸せのために

社会福祉法人葵会の児童養護施設清明寮は浜松市南区新橋町にあります。現在創立69年、来年の令和4年には創立70周年を迎えます。清明寮は終戦後、旧満州から引き揚げてきた孤児や国内の戦争孤児のための施設「子供の家福音寮」(現在の西区舘山寺町)の児童を受け入れ、昭和27年に開設しました。同法人では天竜区春野町に児童養護施設すみれ寮も運営しています。
清明寮は現在、本体施設と地域小規模児童養護施設あしたば(グループホーム)の2か所に児童約50名が家庭的環境の中で生活しています。
入所理由は様々な家庭の背景によりますが、全て児童相談所からの措置制度による入所です。対象年齢は、児童福祉法で原則2歳から18歳までですが、20歳までの措置延長が認められています。近年は以前より大学進学も可能となり、大学3年生からは静岡県及び浜松市の大学等進学修学支援事業制度を利用しています。
昨年からのコロナ禍では浜松東ロータリークラブ様には多くの物的支援並びにご寄付をいただき、いつも変わらぬ温かいご支援に子どもたちだけでなく職員も励まされ勇気づけられました。本当にありがとうございました。
そして未だコロナ禍の続く中、私たち職員の心配は、入所中の子どもたちと同様に施設を巣立っていった社会で頑張る卒業生や地域の若者たちの社会的自立です。清明寮では退所者支援事業所しいの木という事業を行っています。施設を退所した後に家族との縁が薄いという事情の中で若者たちはSOSが出しにくく精神的、経済的な困り事などが解消されず立ち行かなくなることも多くあります。
また、清明寮では子ども自立援助センター「子育てサロンすずらん」を平成9年から24年間行っています。月1回午前の時間に地域の子育て中の親子が集いレクリエーション活動や懇話会、相談などを行っています。
社会福祉法人葵会の理念は「子ども一人ひとりの今日の幸せ、明日の幸せのために」です。児童養護施設で暮らす今の支援と将来を考えた支援、そして施設を退所した後の支援、また地域で暮らす子どもたちや若者への支援、多様な取り組みで子どもたちや若者の物心両面でのよりどころになれるようこれからも努めてまいります。

文:児童養護施設清明寮 施設長 野末鈴菜